けいこう舎 日本文学+ねつれつ解説シリーズ 1 

 

壺井栄『妻の座【ねつれつ解説】(けいこう舎編集部)

(昭和22-24〔1947-49〕年発表)

 

四六判 192ページ 本体1700円+税

ISBN97849908862-9-5 2025年9月25日 →ネットでのご購入版元ドットコム

 

壺井栄をナメるなよ!

家父長制、シャドウワーク、女性蔑視、性別役割分業、ルッキズム……。いまだ名付けられてもいなかった問題に、

ニコニコお人好しのおばさんの素朴な善意が立ち向かう! 

 

『二十四の瞳』の壺井栄1899-1967)もう一つの代表作! 

 

 

 ──戦争の終わった翌夏、ミネは、妻を亡くし四人の子供を抱えて困っていた野村から「お針のできるやさしい女性と再婚したい」と相談される。野村とミネは、ともに新しい世を作ろうと志す進歩的文学者の仲間だった。同情したミネはうってつけの相手として、裁縫教師を続けてきた独身の妹、閑子を紹介する。催促されて結婚し、てきぱきと家事をさばき、子供たちにも慕われた閑子だったが……。

 実際に起きた出来事の衝撃から、栄は同じ思想で手を握り合ったはずの仲間に問いかけた。

結婚と女の人権。これまでこんなことを問題にもしてこなかった日本社会で「妻の座」は流行語となった。

現代人に読んでほしい、戦後の可能性をひそめた、「母性の作家」の問題作!

 壺井栄の作家像、作品の背景、残念な論争と社会の変化の顛末を追って、一つの私小説が社会と格闘した有様をたどる【ねつれつ解説】つき